最近、子供向けに出版されている日本文学について、幼児でも手に取れそうなものはないかと調べてました。
世界文学の場合、日本語で読む以上は原書とは異なるので、子供でも読みやすいもので内容が逸脱していなければよく、選択肢は多いです。我が家では子供向けの世界文学全集をいくつか集めていて、特に集英社の『世界文学の森』シリーズは全40巻集めました。
それらが全部読み終わったので、いよいよ日本文学も読んでみたいと考え始めました。
子供向けの日本文学の全集は意外と少ない
10歳までに読みたい日本名作シリーズ
子供が一人で読める、という点では学研から出ている『10歳までに読みたい日本名作』シリーズは良いと思います。カラーのイラストが目を惹きますし、作品紹介のページも充実しています。
現在12巻で、古典作品も含まれます。近代文学では、宮沢賢治、夏目漱石、太宰治、芥川龍之介、新美南吉、小川未明、江戸川乱歩などの作品が読めます。
しかし、いくつか手にしてみて、あらすじの理解に読むのは良いと思いましたが、日本文学、特に近代文学はなるべく原著の文体のまま読んで知ってほしいと感じました。
難しい表現が多いですが、その言葉選びに作家の個性や作品世界の世界観が現れるからです。子供向けに直された文では別物な印象を受けてしまいました。古典は現代訳として楽しめるので良いですが。
児童向け文庫レーベル
本文を仮名遣いや漢字表記の修正程度に留めているものであれば、青い鳥文庫やつばさ文庫、ポプラポケット文庫などの児童向け文庫レーベルでも多数出ています。
収録されている作品も子供でも楽しめそうなものを選定されていますし、挿絵も親しみやすいです。難しい語句には注釈がついていたりもするので、読みやすいです。
少年少女日本文学館シリーズ
ただ、せっかく家で揃えるのであれば、言葉の説明や注釈が充実した『少年少女日本文学館』シリーズが良いと感じました。
読みやすい適切な文字の大きさ、行間。漢字にはすべてルビ付きと、かなり親切に作られているので幼児でも読むことはできそうです。実際、低学年でも読める配慮をしているということを特色に挙げているようです。
また、馴染みのない道具や情景の説明が欄外に図などで説明されていて丁寧。言葉の説明が文中に書かれており読み進めやすい。収録されている著者も作品も多く、これだけで日本文学の概観を知ることができます。
このシリーズは『21世紀版』と称された新版が出ており、新旧の比較すると、新版は
- 巻数が少ない、サイズが小さい
- 注釈が黒文字(旧版は赤)
- 冒頭のカラー資料が少なくなっている
- 巻末の解説がない
と、本文以外の部分が全体的に省略されている印象を受けました。私は特に子供に読ませる用途としては断然旧版のほうがいいように感じました。特に本文横に書かれた注釈の色が赤の方が読みやすく、見やすい点が気に入っています。
難点としては古本しかないのでなかなか見つけられないこと。気長に集めていきたいと思います。
↓こちらは『21世紀版』のセット。コンパクトさを重視するなら新版でも良さそう。
その他
ちなみに、ただ作品を読むだけであれば、青空文庫でかなりの数が公開されているので、音読教材などにも活用できそうです。
コメント